シルク製品はなぜタンブル乾燥禁止なのか? 繊維製品品質管理士が解説。

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本日は、シルク製品が「タンブル乾燥禁止」な理由について解説します。

おはようさん(養蚕)どす。京都西陣絹糸問屋・中忠商店のWEB番頭でございます。

さて、本日は、シルク製品はなぜ「タンブル乾燥禁止(タンブラー乾燥禁止・乾燥機での乾燥禁止)」なのか?について、TES(繊維製品品質管理士)の立場から解説していきます。

当店でも様々なシルク製品を生産販売しておりますが、タンブル乾燥OKの商品は皆無です。残念ながら、特殊な加工をしていない限り、シルクの製品は原則「タンブル乾燥禁止」です。

【目次】
1、そもそも、タンブル乾燥(タンブラー乾燥・機械乾燥)ってなに?
2、シルク製品がタンブル乾燥禁止の理由は?タンブル乾燥するとシルク製品はどうなるの?
3、シルクがタンブル乾燥に弱い理由。シルクの特性とは?
4、シルクの適切な乾燥方法と、今回のまとめ。

上記のような目次に沿って、なぜシルク製品はタンブル乾燥をしてはいけないのか、どのような点が問題となるのかを、シルクの特性にも触れながら、わかりやすく解説いたします。

1:そもそも、タンブル乾燥(タンブラー乾燥・機械乾燥)ってなに?

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タンブル乾燥=熱風とドラム回転での機械乾燥のこと。

タンブル乾燥(タンブラー乾燥・乾燥機乾燥)とは、洗濯物を乾燥させる方法のひとつで、ドラムで衣料品を回転させながら、熱と風によって乾燥させる、機械式の乾燥方法のことです。「天日干し」や「陰干し」などの自然乾燥と対になる乾燥方法です。

最近では、ご家庭用のドラム式洗濯機にタンブル乾燥の機能がついていたり、ご家庭専用のタンブル乾燥機・ポータブル乾燥機なども普及しつつあります。イメージしやすいものとしては、コインランドリーのドラム式乾燥機(洗濯機能と一体型)が一般的かと思われます。

特徴としては、

・洗濯物を回転させる
・本体の熱や、熱した風を送り込んで乾燥させる。
乾燥速度がはやい

ことが挙げられます。

旅先での洗濯物の乾燥や、急いでいるとき、ご家庭では洗濯しにくい大きなもの(布団・敷物など)の洗濯乾燥には欠かせない便利な機能ですが、シルク製品との相性は、残念ながら「×」です。

2:シルク製品がタンブル乾燥禁止の理由は?

シルク製品が「タンブル乾燥禁止」な理由は、タンブル乾燥すると製品に下記のような現象が発生するからです。

・通常の自然乾燥に比べて、製品が著しく縮む
・製品の表面が擦れて、毛羽立ちや白化(白茶けてみえる)する。
・製品の耐久性が落ちる。生地が弱くなる。
光沢感がなくなる
・しっとりした触感がなくなり、ぱさぱさと固くなる

せっかくのシルク製品の良さが失われ、場合によっては着用も難しくなります

なぜこのような現象が起こるのか、どのような点がシルクの特性と合わないのか?
・シルクの適切な乾燥方法とはどのような方法か?

を、順を追って説明いたします。

3:シルクがタンブル乾燥に弱い理由は?シルクの特性とは?

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シルクの繊維としての特性とは?

シルクがタンブル乾燥に弱い理由。それは、主にシルクの繊維としての特性に由来しています。

シルクの繊維としての特性とは、

・蚕の繭を原料とする、動物性たんぱく質の繊維(主成分がアミノ酸)であること。
極細繊維が結束してできた繊維(ミクロフィブリル)であること。

に集約されます。

※肌に優しい、吸湿性・放湿性が高い、肌との親和性が高い、保水力が高い、紫外線を吸収する、静電気が起きにくいなどのメリットは、この特性によってもたらされる、結果としての機能や効果です。詳しくはこちらの記事をご覧ください →【シルクは肌にやさしい、は本当か?】

この2点の特性が、シルク製品がタンブル乾燥に弱い理由です。

①動物性たんぱく質と熱(高温)の相性が「×」

動物性たんぱく質は熱に弱く、高温にさらされると「熱変性」が起こります。肉を焼く場面や、ゆで卵を作る時を思い出していただければイメージしやすいのですが、たんぱく質は熱を加えると柔軟性を失い固くなります。※「熱変性」についての詳細はこちら

シルク製品もこれと同じく、熱や高温にさらされると変質し、弱くなったり固くなったりします。タンブル乾燥機の熱風が、シルク製品の耐久性を低下させ、風合いを固く変化させてしまうのです。

②極細繊維の結束状態と回転(摩擦)との相性が「×」

極細繊維が結束してできたシルクは、繊維自体の強度は強いものの、表面の摩擦には弱いというデメリットがあります。とりわけ水にぬれた状態のシルクは摩擦にとても弱く、表面の摩擦が起こると、一本一本の極細繊維が切断され細かい毛羽が発生します

タンブル乾燥機での乾燥の場合、ぬれた状態のシルク製品がそのほかの洗濯物と絡み合ってこすれたり、ドラムの回転によって乱雑に叩き付けられたりすることで、摩擦面に多くの毛羽立ちが発生してしまいます。

この毛羽立ちが、白化生地風合いの変化生地表面の乱れ(光沢感の喪失)につながり、製品の外観にダメージを与えてしまいます。

また、毛羽だった繊維同士が絡み合い、引っ張り合うことで生地が収縮してしまいます(これを意図的に起こすのがフェルト化です)。これが原因でシルク製品が縮んでしまいその状態に熱変化が加わると、小さくなった状態のままでサイズが固定化されてしまいます。場合によっては、着用が困難になる現象を引き起こすこともあります。

このような理由から、シルク製品は「タンブル乾燥禁止」なのです。

4:シルクの適切な乾燥方法。今回のまとめ。

それでは、タンブル乾燥ではない、シルクの適切な乾燥方法とは、どのようなものでしょうか?

シンプルな内容になりますが、

直射日光を避けて(熱や紫外線を避ける)
通気性の良い日陰で
自然乾燥

が、シルクの適切な乾燥方法になります。


【今回のまとめ】

シルク製品はタンブル乾燥禁止。
シルク製品をタンブル乾燥すると、多くのダメージが発生する。
ダメージが発生する理由は、シルクの特性に由来する。
シルクは、日陰で自然乾燥するべし。

シルクはあなたのお肌と同じ成分からできています。適切な取り扱いで、シルク製品を長くご愛用ください。

中村忠三郎商店.京町家本店
京都西陣|中村忠三郎商店|京町家本店

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